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育児休業等の社会保険料免除について〜③育休終了後編〜

育児休業等の社会保険料免除について〜③育休終了後編〜

労働・社会保険

2025.1.30

こんにちは。アルク社労士事務所です。

今回は、育児休業(以下、「育休」といいます)を明けて復職した場合の社会保険上の必要な手続きについてご案内いたします。

過去の記事①育休期間中編、②男性の育休の制度や手続き編も併せてご確認ください。

育児休業等終了時月額変更届について

育休を明けた従業員が、時短勤務や時間外労働の減少などの働き方の変化により休業前と比べて給与に変動が生じることがあります。
復帰後も育休前の報酬を基に標準報酬月額が計算されてしまうと実際の手取り額が減少してしまうこととなってしまうため、育児休業等終了時月額変更届の手続きを行うことで、育休復帰後に、育休取得前と比較して下がった報酬額の3カ月の平均で算定し、4カ月目から標準月額報酬を改定することができます。
育休終了日の翌日の属する月以後3カ月間に受けた報酬の平均額に基づき、4カ月目(例:「育児休業等終了日の翌日の属する月」が4月である場合は7月)の標準報酬月額から改定されます。

参考:厚生労働省「育児休業終了後の社会保険の特例」

<対象者>
・育休を終えて職場に復帰している
・復帰後も3歳未満の子を養育している

<条件>
・育休前の標準報酬月額と復帰後の標準報酬月額に1等級以上の差が生じている
・育休終了日の翌日が属する月以降3カ月のうち、少なくとも1カ月における支払基礎日数が17日以上である(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上)
※パートなどの短時間労働者の場合、3ヵ月のいずれも支払基礎日数が17日未満の場合には、15日以上17未満の月の報酬月額の平均を基に算定する

<通常の月額変更届との違い>
・昇給、降給などで賃金に変動があること
→賃金の変動がなくても3歳未満の子を養育していれば対象
・変動した月から3カ月の平均報酬額が現在の標準報酬月額と比べて2等級以上差があること
→1等級の差から対象
・3カ月間の基礎日数がいずれも17日以上あること
→3カ月のうち少なくとも1カ月、基礎日数が17日以上(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日以上)あれば対象で、17日(または11日)未満の月は除いて算定する。

<補足>
・実際に等級が改定されるのは4カ月目となります。それまでの3カ月の間については従前の標準報酬月額となります。
・育休を終了した日の翌日から引き続いて産前産後休業を開始した場合は届出できません。
・この制度は3歳未満の子どもを養育している人であれば男性でも利用可能です。時短勤務をせずに復職した人でも、残業をしなくなったことで標準報酬月額が減った場合は対象となります。

<注意点>
この届出をすることで標準報酬月額が変更されるため、月々の社会保険料支払い額が減ります。これはメリットとなりますが、一方で、厚生年金保険料の支払額が減ったことになるので、将来受け取るはずの年金額が減ってしまうというデメリットにもなります。
しかし、「養育期間標準報酬月額特例」を利用すれば、この問題は解決できます。この特例については、引き続き下記にてご案内いたしますので併せてご確認ください。

<必要な手続き>
被保険者から申し出があった場合、事業主を経由して申請します。
提出先:事務センターまたは管轄の年金事務所
提出方法:電子申請、郵送、窓口持参(年金事務所のみ)
届出様式:『育児休業等終了時報酬月額変更届』
参考:日本年金機構「育児休業等終了後に受け取る報酬に変動があったとき」

養育期間標準報酬月額特例(養育特例)について

育休を明けた従業員が、時短勤務や時間外労働の減少などの働き方の変化により標準報酬月額が低くなることが考えられます。それにより将来年金額を算定した際に年金額に影響してしまうため、その措置として、厚生年金の支払額が減っても、減る前の額を納付したとみなして年金額を計算してくれる制度です。
子の養育を始めた月の前月の標準報酬月額(従前報酬月額)を当該育児期間(子が3歳に達するまでの期間)の標準報酬月額とみなされる特例です。

参考:厚生労働省「3歳未満の子を養育する期間についての年金額計算の特例」

<対象者>
3歳未満の子を養育している被保険者
(実子および養子に加えて、特別養子縁組の監護期間にある子および養子縁組に委託されている子も含む)

<対象期間>
3歳未満の子を養育している期間
(3歳未満の養育開始月から、養育する子の3歳誕生日が属する月の前月まで)

<補足>
・遅延した場合、申出日の属する月の前月から2年間に限り遡及して養育特例を受けることができます。(特例を受けることができない期間については、実際の標準報酬月額を基に将来の年金額を算定することになります。)
なお、2年間であれば遡及して適用することができるため、退職後であっても申出することが可能です。
・2つ以上の事業所で社会保険に加入している場合、それぞれの事業所において申出する必要があります。
・転職した場合、退職した事業所では、厚生年金の資格を喪失するため養育特例の適用が解除されます。したがって、再就職した事業所でも3歳未満の子を養育する場合は、再就職先で改めて養育特例の申出書を提出する必要があります。

<終了届について>
子が3歳に到達する前に養育をしなくなった場合(離婚などで子を養育しなくなった場合や、子が亡くなった場合)、特例の終了届を提出しなければなりません。
ただし、下記の場合は届出不要です。
・申出に係る子が3歳に到達したとき
・退職等により、申し出者が厚生年金保険の被保険者資格を喪失したとき
・申出に係る子以外の子について養育特例措置を受けるとき
・申し出者が新たな産休または育休を開始したとき

添付書類について
2025年1月より、養育特例に係る添付書類の省略できるようになりました。
①「戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書」(原本)・・・申出者と子の身分関係を証明するため
下記のいずれかの場合は添付不要となります。
・事業主が、従業員と子の身分関係ついての証明を確認できた場合
(申出書に事業主の確認欄が設けられているので「□確認済み」にチェックを入れる)
・申出書に申し出者と養育する子の個人番号がどちらも記載されている場合
②「住民票の写し」(原本)・・・養育特例の該当日より同居していることを証明するため
申出書に申し出者と養育する子の個人番号がどちらも記載されている場合は添付不要

参考:厚生労働省「厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令の施行に伴う養育期間標準報酬月額特例申出書の取扱いについて」

<必要な手続き>
被保険者から申し出があった場合、事業主を経由して申請します。なお、被保険者であった方(退職者)が提出する場合は、本人から直接提出することができます。
提出先:事務センターまたは管轄の年金事務所
提出方法:電子申請、郵送、窓口持参(年金事務所のみ)
届出様式:『厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届』
参考:日本年金機構「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置を受けようとするとき」

最後に

・育児休業等終了時報酬月額変更届は、「支払う社会保険料」を引き下げる制度
・養育特例は「将来受け取る年金額」を引き下げ以前の等級のまま計算され、年金額を減少させないようにする措置
として、育休から復職して時短勤務などで報酬が下がってしまった場合に利用できる制度があります。
2025年1月より養育特例について添付書類の省略が可能となりましたので、手続きの負担が少し軽減されました。
複雑な制度ではありますが、これらの手続きについては従業員の希望によって申請する制度ですので、従業員と企業の双方がこの制度を正しく理解し、適切に届出ができるよう対応していきましょう。

それでは。

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