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【研修・教育訓練は労働時間?】「自由参加」で決まらない労働時間制の判断基準

【研修・教育訓練は労働時間?】「自由参加」で決まらない労働時間制の判断基準

コラム

2026.8.14

こんにちは。アルク社会保険労務士法人です。

終業後の勉強会を「自由参加」と案内していても、欠席すれば上司から理由を聞かれる、受講しなければ担当業務に就けない、修了状況が人事評価に使われる。
このようなシーンでは、任意研修と謡っていても、労働時間と評価される場合があります。

厚生労働省は令和8年6月、「労働時間の考え方:『研修・教育訓練』等の取扱い」と「『研修・教育訓練』に関する労働時間の考え方」を公表しました。なお、本リーフレットは法改正ではなく、労働時間に当たる要件と対象事例を具体化した資料です。

研修・教育訓練が労働時間かどうかは「自由参加」、「自己啓発」という名称だけでは決まりません。会社の明示または黙示の指示があり、従業員が参加を事実上義務づけられているか否かによって、労働時間と評価されるか判断されます。

「自由参加」と書けば労働時間ではない、とは限らない

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」において、労働時間とは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」とされています。
労働契約や就業規則にどう書いたかだけでなく、行為が会社から義務づけられ、または余儀なくされていたか否かについて実態判断を行うということです。

たとえば、会社が参加者・日時・場所を決め、参加後のレポート提出を求め、遅刻や欠席を指導していた勉強会を、労働時間に該当すると考えられます。
形式上は自由参加でも、受講が正社員になるための要件で、参加できるよう会社がシフトを調整していた研修も同様です。

一方、会社の設備を無償で貸していても、練習するか、何を練習するかを本人に委ね、会社が実施状況を確認していない自主練習は、労働時間に該当しないと考えられる例です。
会社がWeb学習ツールを提供していても、受講指示、習熟度試験、人事評価への反映がない自発的な学習も同じ整理となります。

最も気を付けるべき点は、「任意と書いたから無給」という結論を先に置くことです。
実態が優先されるため、社内の案内だけを整えても、管理職の声かけや評価制度が参加を強いていれば、未払い賃金の問題に発展しかねません。

労働時間制判断のための4つのポイント

研修の名称や開催場所ではなく、次の4つのポイントを確認して、労働時間制判断の軸としていくとよいでしょう。

・参加者、日時、場所、学習内容を会社が決めているか

・欠席や未修了によって、指導、評価、配置、登用などの不利益が生じるか

・受講履歴、テスト、レポートを会社が確認し、業務や人事評価に利用しているか

・修了しなければ、現在の担当業務または予定する業務に就けないなど、業務上の影響はないか

たとえば、オンライン研修システムに受講履歴が残ることだけで、一律に労働時間となるわけではありません。
ただし、管理職が未受講者一覧を確認して受講を促し、期限内の修了を評価や配置の条件にしていれば、黙示の指示をうかがわせる事情となります。
つまり、そのデータを会社が何のために使うかまで考えていく必要があります。

また、業務に役立つ学習ならすべて労働時間、業務と直接関係しなければ労働時間ではない、という分け方も適切ではありません。
業務との関連性は判断材料の一つですが、中心になるのは会社の関与と参加の強制性です。
研修の内容そのものだけでなく、当該研修を受講するに至る経緯、研修を受講しないことによる不利益の有無、そして会社側の指示の程度などの実態を見て判断してくとよいでしょう。

強制研修と任意研修の場合

まず、当該研修への受講を会社として義務付けるのか、本人の選択に委ねるのかを決めます。
次に当該研修を受講するに至る経緯、研修を受講しないことによる不利益の有無、そして会社側の指示の程度などがその方針と整合しているかを確認します。

会社が当該研修の受講を義務付ける場合は、可能であれば所定労働時間中に研修を受講いただくとよいでしょう。
もし、所定時間外に行う場合は、研修の開始・終了時刻を実際の労働時間として記録します。
研修時間を含めて原則1日8時間・1週40時間を超える場合や法定休日に実施する場合は、時間外・休日労働の割増賃金の支払いが必要となります。

一方で、本人の選択に委ねる学習(任意研修)の場合、不参加による不利益を設けず、受講状況を評価や配置に使わないといったことまで明確化しておくことが望ましいです。
また、本来の業務やその準備・後処理が終わり、従業員が業務から離れてよいこと、さらには通常の勤務場所と異なる場所で行うなど、通常勤務と明確に区別できるような対応も必要でしょう。

研修を労働時間から外すために「自由参加」と書くのではなく、会社がどこまで受講を義務付けるかを先に決め、義務付けるのであれば労働時間として設計する。
当該研修が労働時間と評価されるか否かについては、判断に迷う重要論点です。
お困りの際は、社会保険労務士にご相談ください。

それでは。

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