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2026年10月から「保険料調整制度」のスタート

2026年10月から「保険料調整制度」のスタート

労働・社会保険

2026.10.9

こんにちは。アルク社会保険労務士法人です。

2026年10月から、短時間労働者の社会保険料負担を軽くする「保険料調整制度」が始まりました。
本人負担の一部を会社が一時的に引き受け、後からその追加分の還付を受ける仕組みです。

社会保険への加入を検討する際、給与から保険料を控除した後の手取りは、従業員にとって気になるところかと思います。
会社としても、負担を和らげる制度が使えるなら、加入後の働き方を話し合う材料にすることが可能です。
ただ、利用するか否かを決める場合、自社が短時間労働者の加入対象になった経緯を確認する必要がありますので、以下で解説いたします。

事業所の確認

各企業が「保険料調整制度」の利用を検討する入口となるのは、新たに「任意特定適用事業所」となる場合です。
企業規模の基準に満たない会社でも、労使合意に基づく事業主の申出によって、短時間労働者を社会保険の加入対象にすることが可能です。

保険料調整制度の対象期間は、2026年10月1日から2035年9月30日までに、この任意特定適用事業所となった場合です。
一方、2026年10月1日時点で既に特定適用事業所や任意特定適用事業所となっている事業所は対象外とされています。

つまり、同じ企業規模であっても、これから短時間労働者を加入対象にする会社と、以前から対象にしている会社では、制度を使えるかが異なることがあるという点に注意が必要です。

2027年10月以降の企業規模要件の段階的な適用拡大で、新たに特定適用事業所となる場合も対象に挙げられていますので、将来の適用拡大が予定される場合は、「保険料調整制度」の利用の検討を進めていくと良いかと考えます。

個人事業所には別の対象条件があり、該当前に被保険者数が常時51人以上となった場合にも除外条件がありますので注意が必要です。

参考:日本年金機構「対象となる事業所・申出期限」

適用対象者の確認

会社が、「保険料調整制度」の対象事業所であることを確認できたら、従業員ごとの加入区分と標準報酬月額を確認します。
軽減の対象は、短時間労働者として健康保険・厚生年金保険に加入し、標準報酬月額が12万6,000円以下の被保険者です。

「パート」という呼称や給与の月給額の判断ではなく、社会保険の標準報酬月額が判断基準となります。
また、「保険料調整制度」を利用する場合は、条件に該当する従業員全員に適用され、一部の人だけを選ぶことはできないこととされています。

複数の事業所で社会保険に加入している従業員(二以上勤務者)や、産前産後休業・育児休業等で保険料が免除されている従業員は対象外です。

参考:日本年金機構「対象となる被保険者」

「保険料調整制度」は事業所の利用期間である通算3年間に適用され、3年目には軽減割合が1~2年目の半分になります。
なお、調整制度利用によって将来受け取る年金額は減りません。

従業員へ伝える際は、開始時の手取りを示すだけではなく、その後の中期的な働き方を考えやすくするためにも、「負担が変わる時期」まで合わせて説明することが必要でしょう。
「保険料調整制度」の期間途中から社会保険に加入する従業員には、従業員の加入から3年間ではなく、「事業所が制度の利用を申し出た月から通算3年間」となるため、会社の利用期間がどこまで進んでいるかを確認する必要もあります。
さらに、将来の賃金や保険料率は変わり得るため、長期の手取り額を固定額で約束せず、負担が変わる仕組みと時期をしっかりと従業員に伝えておくことが必要です。

その他の注意点

「保険料調整制度」は事業主が開始を申し出て、申出書が受け付けられた月から利用となります。
過去の月へ遡及することができない点は注意が必要です。
期限は、利用できるようになった日から2年が経過する月の前月までです。
例えば、2026年10月中に任意特定適用事業所となった場合、2028年9月末までに提出が可能です。

期限内であれば準備を整えてから申し出るという選択もありますが、待っている月は「保険料調整制度」を利用できないため、対象者の確認と給与処理の準備を進め、何月から使うかをしっかりと計画立てて準備すると良いかと考えます。
提出方法は郵送または窓口持参となり、書類を出す日だけでなく、希望月に受け付けられるかも確認しておきましょう。

参考:日本年金機構「開始申出の手続き」

利用開始後は、本人負担を軽減した額で給与から控除し、会社がその軽減分を一時的に追加負担して納付します。
追加分は、3か月後の保険料から差し引く形で還付されます。
ただし、納付期限に納めず、督促状の指定期限までにも納付しなかった月は、追加分が還付されない点には注意が必要です。

会社の最終的な負担が増えない仕組みでも、還付までの間は追加分を納付する資金が必要となる点についてもご留意ください。

参考:日本年金機構「追加負担した保険料の還付」

また、会社の申出で「保険料調整制度」の利用を途中からやめることができない点にも注意が必要です。

「保険料調整制度」の利用にはこれらのとおり、様々な注意点がありますので、制度導入の検討の際には、年金事務所、加入する健康保険の保険者、顧問社労士へ確認してください。

それでは。

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