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「復職可能」の診断書が提出された場合の会社の対応実務

「復職可能」の診断書が提出された場合の会社の対応実務

コラム

2026.10.11

こんにちは。アルク社会保険労務士法人です。

メンタルヘルス不調で休職していた社員から、「復職可能」と記載された診断書が提出された場合、会社側は「復職させて大丈夫だろうか」と悩むことが多いため、今回は以下で解説させていただきます。

診断書に書かれた「復職可能」の前提

主治医の「復職可能」という判断は、必ずしも、休職前の業務をすべて同じように行えるという意味ではありません。
厚生労働省の職場復帰支援の手引きにおいても、病状の回復と、職場で必要とされる業務遂行能力を区別しています。

主治医が実際の仕事内容を十分に把握していないケースがあるため、医師と会社が想定する「働ける状態」に相違が生じている場合があります。
医学的な支障や必要な配慮について医師の意見を得た上で、会社は本人の意向、産業医の見解、担当する仕事、職場で実施できる配慮を踏まえて復職を判断していくこととなります。

ただし、「また体調を崩しそう」「周囲が受入れに消極的」といった印象だけで復職不可と判断すると、最悪の場合、労使紛争となってしまうことが考えられるため、会社が復職に対して不安がある場合も、その理由を具体的にして、主治医と話し合うことが必要となる場合があります。

主治医に伝える仕事内容

診断書に「当面は軽作業」「ストレスの少ない業務」と記載されていても、それだけでは何を任せられるか分からないことがあります。
このような場合、原則として、主治医に対して、復帰後の仕事内容と、医師に確認したい点を確認する、「医療照会」をかけていくこととなります。

「経理」「営業」といった職種名だけでは、主治医も仕事の負担を判断しにくいものです。
例えば、経理でも、伝票入力と、月次の締切管理や社内外との調整では、求められる集中力や負担が異なります。
実際の作業、勤務時間、残業や対人対応の有無などを伝えると、その仕事を前提に意見を得やすくなります。

予定する業務や勤務時間で働けるか、避けた方がよい作業や負担があるかも確認するとよいでしょう。
「残業を控える」などの配慮が必要であれば、制限の程度、医学的な理由と期間の目安、業務や勤務時間を戻す見込みも確認しておきます。
判断できない点が残れば、主治医に対しては医学的見解をしっかりと確認をしていってください。

また、産業医がいる会社では、仕事内容と診断書を併せて伝え、主治医との連携を図ってもらうよう、産業医に働きかけを行ってください。
産業医がいない場合であっても、産業保健総合支援センターの相談利用が可能です。

なお、個人情報保護の観点から、主治医への医療照会の前には、目的、質問内容、情報を扱う担当者を本人に説明し、従業員から同意を得ておくことが求められます。この場合、診断書の提出だけで、直接確認することにも同意したと扱わないよう注意が必要です。

試し出勤で確認すること

医師の意見を踏まえても、実際に勤務を続けられるかを確認したい場合には、試し出勤も選択肢になります。
主治医に療養上の支障がないかを確認し、目的、作業内容、時間、期間を本人と話し合って決めていきます。

復帰後の仕事を踏まえた作業を選び、出勤時間を守れるか、業務に必要な集中や連絡ができるか、疲労が翌日までに回復するかなどを確認していくこととなります。
行った作業と実際に起きたことを記録し、懸念があれば主治医等に医学的な意見を求めていくとよいでしょう。

試し出勤の開始前には、賃金や事故が起きた場合の取扱いも労使で確認してください。
会社の指示で実際の業務を行わせる場合は、「試し出勤」という名称だけで無給の訓練として扱わないよう注意が必要となります。
期間も判断に必要な範囲にとどめ、結論を出さないまま長引かせるような運用は避けるべきです。

リワークプログラムの活用

リワークプログラムは、メンタルヘルス不調で休職している人の職場復帰を支援する取組です。
医療機関や地域障害者職業センターのほか、民間事業者も提供しています。

参考:アウェアファイ リワーク

支援内容には、生活リズムを整えたり、作業を通じて集中力や持続力の回復を図る、ストレスへの対処を学ぶなどがあります。

厚生労働省の「職場復帰支援の手引き」においても、専門的な助言や指導が必要な場合には、役割に応じて職場外の支援機関を活用することが望ましいとされています。
リワーク支援もその一つとして紹介されており、本人の状況に合ったサービスを選ぶことが大切になります。

支援内容や対象者、費用は機関によって異なるため、利用前に利用検討施設へ確認が必要となります。

復職後の配慮と見直し

最初の日から休職前と同じ仕事をすべて行えることだけを条件にすると、一定期間の配慮を行えば通常勤務ができる可能性を見落とすおそれがあります。
短時間勤務、業務内容の調整、担当業務の変更などを、本人の希望と主治医及び産業医の意見を踏まえて検討していくことが求められます。
また、通院や服薬が続いている場合も、仕事への影響を確認して検討していきます。

希望された措置が難しい場合は、その理由と代案を主治医に伝え、医学的な支障がないかを確認することを推奨します。
ただし、職種や業務を限定した雇用契約かどうか、就業規則の定めによっても扱いは異なり、別の仕事への変更を含め、会社に求められる対応は個別に確認することが必要です。

復職条件が決まったら、復職日、担当業務、配慮の内容、健康状態が悪化した場合の相談先担当者などについて、本人と共有しておくとよいでしょう。
この際、職場復帰支援プランを作成しておくことが推奨されています。

復職を認めない、休職期間の満了を理由に自然退職扱いとするなどの対応を検討する場合には、診断書、契約、就業規則、実際の仕事や配慮の可能性を含めた個別の確認が必要となります。
医学的な事項は主治医や産業医等に、労務上の取扱いは顧問社労士等に相談し、紛争が見込まれる場合には弁護士への相談も検討してください。

それでは。

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