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【2026年10月1日施行】求職者等セクシュアルハラスメント対策義務化

【2026年10月1日施行】求職者等セクシュアルハラスメント対策義務化

法改正

2026.8.30

こんにちは。アルク社会保険労務士法人です。

2026年10月1日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を講ずることが義務付けられます。

面接、インターンシップ、OB・OG訪問、リクルーター面談、内定者との交流、SNS、食事、懇親会まで、企業の採用活動の全般にわたり防止のための対応が必要となります。

特に、採用に関連する場で求職者等と飲酒することを原則禁止する社内ルールが推奨されます。
法令上、酒席を一律に禁止しているわけではありませんが、セクハラが酒席の場で起こりやすい以上、求職者等と、そして、自社の社員の双方を守るために必要になってくると考えられます。

求職者等セクシュアルハラスメントの概要

改正男女雇用機会均等法第13条は、事業主に対し、その雇用する労働者による性的な言動によって求職者等の求職活動等が阻害されないよう、相談に応じる体制の整備その他の必要な措置を講ずることを求めています。

これまでも、事業主が就活等セクハラの防止に取り組むことは望ましいとされていましたが、2026年10月1日より、厚生労働省告示第52号の指針に沿った措置が義務になります。

また、対象は大企業だけではなく、全ての事業主が対象です。

求職者等セクハラ対策の概要は次のとおりです。

・主な保護対象:応募者、採用に資する活動の参加者、一定の実習生等
・問題となる場面:面接、説明会、インターンシップ、OB・OG訪問、SNS、採用活動の延長である懇親の場等
・相談窓口の周知先:求職者等が直接アクセスできる形で周知が必要
・新たに重視される点:求職活動のルールを事前に明確にし、社員と求職者等へ周知

「求職者等」には、会社の求人に応募する人だけでなく、次の人が含まれます。

・会社説明会など、事業主が行う採用に資する活動へ参加する人
・インターンシップへ参加する人
・会社の社員を訪問する人、いわゆるOB・OG訪問の参加者
・教育実習、看護実習その他の実習を受ける人

一方、小中学生の社会科見学や、授業の一環として企業を招く講演会など、専ら教育を目的とする活動の参加者は、ここでいう「求職者等」には含まれないとされています。

面接室の外やオンラインも対象になり得る

対象となる求職活動等は、会社の会議室で行う面接に限りません。
OB・OG訪問を行う飲食店、説明会の貸会議室、学校のキャンパス等も含まれるとされます。
SNSを介したやり取りやオンライン面談も対象です。

また、懇親会であっても、実質的に採用活動や実習の延長と考えられる場面は対象になり得ます。

つまり、「会社の外だから私的な会食」、「内々定を出した後だから採用活動ではない」といった形では区分けしないこととなります。

採用担当者以外も求職者等セクハラ対策の対象

行為者となり得るのは、人事部の採用担当者だけではありません。
現場の面接官、インターンシップの指導社員、リクルーター、OB・OG訪問を受ける社員、内定者行事へ参加する管理職や若手社員なども含まれます。

法が直接対象とする「事業主が雇用する労働者」には、正社員だけでなく、契約社員やパートタイマー等も含まれます。
採用に接点を持つ可能性がある社員へ、必要な範囲でルールを周知する必要があります。

役員などが「雇用する労働者」に当たらない場合もありますが、求職者等セクハラ指針において、役員や事業主による性的な言動についても、同じ措置を参考にして適切に対応することが望ましいとされています。

個人LINEや個人SNSは使わない

厚生労働省のQ&Aにおいて、採用活動ルールの例として、次を挙げています。

・面談時間と場所の指定
・複数人で対応するなどの実施体制
・求職者等とのやり取りに使用するSNSの種類の指定

なお、全ての面談を必ず複数人にすることや、個人SNSを一律に禁止することが、個別に法令で定められたわけではありません。

もっとも、個人的な連絡先の交換が、求職者等セクハラの温床となり得ることを考えると、企業に求められることとして、個人LINE、個人メール、個人SNSを使わず、求職者等とのやり取りの記録を確認できる連絡手段に限定することが求められているといえます。
会社の指定手段であれば、担当交代、相談発生時の事実確認、夜間連絡の抑制、私的連絡への移行防止がしやすくなるためです。

採用活動では、求職者等と飲酒する場を設けない

2020~2022年度卒業で就職活動又はインターンシップを経験した人を対象した厚生労働省の令和5年度調査において、インターンシップ以外の就職活動中にセクハラを受けたと回答した235人に被害場面を複数回答で尋ねたところ、主な結果は次のとおりでした。

・リクルーターと会ったとき:32.8%
・内々定を受けた後:26.0%
・SNSや就活マッチングアプリで社員とやり取りしたとき:23.8%
・志望先企業の従業員との酒席の場:20.4%
・大学のOB・OG訪問のとき:17.4%

飲酒を伴うと、理性的な行動ができなくなる可能性があります。
求職者等セクハラ防止の場面では、各企業は「飲酒」については自社の考えを十分に検討していくべきです。

各企業の再発防止策でも、飲酒禁止が採用されている

NECは2025年1月14日、社員が就職活動中の学生にわいせつな行為をしたとして逮捕されたと公表しました。
同社は、当局の捜査へ協力し、事実関係を確認した上で厳正に処分するとした上で、採用活動指針を見直しました。

公表された主な内容は、全ての場面での飲酒禁止、1対1面会を会社施設・大学のオープンスペース又はオンラインへ限定、対面時間を平日9時から18時へ限定、個人のメール・携帯電話・SNSの禁止、面会の事前届出、採用に関わる社員の誓約書、相談窓口の設置です。

また、住友商事も2019年3月29日、OB・OG訪問時の社員逮捕を受けた再発防止策として、就職活動生との飲酒の全面禁止、平日13時から18時の時間制限、原則社内での実施、事前届出と事後報告、OB訪問マッチングアプリの利用禁止、相談窓口を公表しました。

これらの事項を踏まえ、2026年10月1日に向けた検討を各企業で行っていきましょう。
それでは。

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