コラム
2026.8.25
こんにちは。アルク社会保険労務士法人です。
厚生労働省は、2026年9月1日から時間外労働に関する監督指導を見直すと発表しました。
プレスリリース:「時間外労働等に係る相談・支援及び監督指導を見直します」
ただし、監督指導の見直しにより、「月45時間を超えてもよい」ことになるわけではありません。
月45時間・年360時間など法律上の上限そのものは変わらず、見直されるのは労働基準監督官が監督指導で重点的にどこを確認するのかという点についてです。
今回見直されるのは、時間外・休日労働の時間数だけに着目し、月45時間以内への削減を一律に求める指導です。
厚生労働省によると、9月1日以降は、各事業場が36協定で定めた健康・福祉確保措置の実施状況を重点的に確認し、その状況に応じて必要な指導を行うとされています。
なお、監督指導の着眼点が変わっても、労働基準法上の上限や36協定を守る責任は変わりません。
過重労働による健康障害のおそれが高い場合には、引き続き必要な指導が行われます。
そこで会社側の説明としては、これまでのように「45時間を超えたか」だけでなく、特別条項発動事由や対象者にどの健康・福祉確保措置を行ったのかまで説明できるよう、理由と措置の記録を取っておくことが必要となります。
労働基準法第36条において、時間外労働について月45時間・年360時間を原則の限度としています。
ただし、対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制では月42時間・年320時間となり、建設業、自動車運転者、医師などにも一部異なる上限規制があるため、本記事では、通常の月45時間・年360時間が適用されるケースを中心に説明します。
限度時間を超え臨時的な特別の事情があるときは、特別条項付き36協定によってこの限度時間を超えることが可能となります。
ただし、残業時間を際限なく延ばせるわけではなく、特別条項を設けた場合にも次の上限がかかります。
時間外労働は年720時間以内
時間外労働と休日労働の合計は単月100時間未満
時間外労働と休日労働の合計は、2~6か月の各平均が80時間以内
月45時間を超えられるのは年6か月まで
特別条項は、常態として月45時間を超える働き方を認めるものではなく、36協定に関する指針において、通常予見できない業務量の大幅な増加など、限度時間を超える具体的で臨時的な事情を定めることとされており、「業務の都合上必要な場合」のように恒常的な長時間労働につながりかねない定め方は認められないとされています。
特別条項において、限度時間を超えて働かせる具体的な場合のほか、特別条項発動の手続きや健康・福祉確保措置を定めることとなります。
36協定では突発的な受注増加を理由としているのに、実際には恒常的な人員不足によって毎年同じ時期に月45時間を超えているのであれば、臨時的な例外としての運用とはいえず、時間数を増やしても協定と実態の食い違いが発生し得ます。
現在の36協定で特別条項発動事由については、会社ごとの実態に即した事由が付されているかについては確認を行うことが必要です。また、実態とそぐわない内容であれば、次回の36協定においての是正対応も必要となるでしょう。
36協定に関する指針において、措置の例として次のようなものが示されています。
医師による面接指導
深夜業の回数制限
勤務間インターバル
特別な休暇
健康診断
相談窓口
今後は、36協定で定めた健康・福祉確保措置について、まず「実施」していくことがポイントとなります。
おそらく、特別条項発動時に健康・福祉確保措置を実施している会社はそこまで多くないということが考えられます。
また、実施した場合については、必ず実施記録についても保管しておきましょう。
36協定で定めた内容と実際の働き方が合っており、上限や記録にも問題がなければ、今回の見直しだけを理由に直ちに会社側で対応が必要な事項はありません。
一方で、特別条項発動事由が協定の定めと合わない、実際の労働時間が上限を超えている可能性がある、健康・福祉確保措置の実施を記録から確認できないといった場合は、36協定を再締結したとしても、過去の事実までは解消されません。その場合は、将来にわたって是正を試みることとなります。
まずは、自社の36協定を改めて確認していきましょう。
それでは。
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