コラム
2026.10.5
こんにちは。アルク社会保険労務士法人です。
二以上事業所勤務の従業員が、一方の会社を退職するとき、もう一方の会社では何をすればよいのでしょうか。
70歳未満の従業員が、A社とB社のそれぞれで社会保険の加入要件を満たしていた場合を中心に解説させていただきます。
A社:退職する会社。
B社:引き続き勤務する会社。
A社では、退職した従業員の資格喪失手続きを行います。
厚生年金の資格は、適用事業所に勤務し、加入要件を満たすことを基本に判断します。
そのため、B社との雇用関係が続き、B社で加入要件を満たしていれば、A社の退職だけを理由に、B社でも厚生年金の資格喪失・再取得を行う必要はありません。
同時にB社での勤務時間や契約を変更する場合は、その変更後も加入要件を満たすかを確認する必要があります。
B社の担当者は、本人への確認により、次の情報を確認していくと良いでしょう。
A社の退職日と、A社による資格喪失届の提出状況。
現在の選択事業所がA社・B社のどちらか。
選択事業所の変更の有無
現在の「健康保険」の保険者
選択事業所が変更となる場合は、「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」の届出が必要となります。
二以上事業所勤務では、本人が選択した事業所をもとに、事務を扱う年金事務所や健康保険の保険者等が決まります。
この「選択事業所」がA社なのかB社なのかによって、A社を退職した後にB社が確認する内容は異なります。
B社を選択していた場合: 現在の健康保険を継続する前提で、A社の退職に伴う必要な届出をB社側の健康保険組合へ確認及び保険料の変更の確認を行ってください。
A社を選択していた場合: A社の退職に伴って健康保険の加入先が変わるため、B社側の健康保険組合に必要な手続きの確認を行ってください。
例えば、ヤマトグループ健康保険組合は、選択事業所を退職したときは、非選択事業所へ連絡して健康保険の資格取得手続きを行うよう案内しています。
非選択事業所を退職した場合は、選択事業所への連絡を求めています。
ただし、具体的な取扱いについては各健康保険組合によって異なる可能性がありますので、所属の健康保険組合に確認をしていただくと良いでしょう。
参考:ヤマトグループ健康保険組合「複数(2か所以上)の会社で勤務する方へ」
なお、実務上は、B社の担当者は退職前後の保険者を把握したうえで、年金事務所と加入先の健康保険組合等へ、B社からの届出の要否、種類、提出先、資格の取扱いを確認する進め方をおすすめします。
健康保険組合から協会けんぽへ変わる場合などは、健康保険の取得手続きと厚生年金の資格継続を分けて確認するとよいでしょう。
被扶養者がいる場合は、その家族に必要な手続きも併せて確認します。
また、退職する勤務先が国・地方公共団体等で、従業員が共済組合の短期給付を受けていた場合は、民間二社とは別の取扱いがある点には注意が必要です。
この場合、共済組合員の資格を失った場合、勤務を続ける健康保険加入事業所から、その旨を記載した健康保険の資格取得届を提出することとされています。
共済への加入状況も窓口へ伝えて確認しましょう。
参考:厚生労働省の事務取扱い通知・第2の3(2)②
二以上勤務中は、A社とB社の報酬を合算して標準報酬月額を決め、保険料を両社の報酬に応じて按分します。
A社を退職すれば、この合算・按分の前提が変わるため、B社の給与が変わらなくても、社会保険料の控除額が変更となります。
B社の給与担当者は、後日年金事務所・健康保険組合から通知がある書類において、次の三点を確認しましょう。
二以上勤務終了後の標準報酬月額。
B社で控除する保険料額。
変更後の保険料が適用される月。
給与の締め日までに通知が届かない場合は、B社の担当者が、年金事務所や健康保険組合へ届出の処理状況を確認してください。
なお、控除金額が不明な場合は、従業員本人へ事前説明の上、暫定額の社会保険料を控除し、控除金額の判明後、差額精算を行うこととなります。
それでは。
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