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2026年9月は「職場の健康診断実施強化月間」

2026年9月は「職場の健康診断実施強化月間」

コラム

2026.8.26

こんにちは。アルク社会保険労務士法人です。

2026年9月は「職場の健康診断実施強化月間」です。
健康診断そのものは実施していても、結果を通知した後の対応が止まっている会社が少なくありません。
各企業には、検診結果の通知や記録の保存に加えて、有所見者について医師からの意見聴取を行った上で、必要な就業上の措置につなげることが求められています。
本記事では、健診後に会社が行うべき事後措置について、強化月間の内容とあわせて整理させていただきます。

プレスリリース:「職場の健康診断実施強化月間」(9月)について

2026年8月21日に公表されたプレスリリースにおいて、一般健康診断については、健診の実施、医師からの意見聴取、事後措置、結果の保存、労働基準監督署への報告の徹底が掲げられており、ストレスチェックや治療と就業の両立支援なども重点事項に含まれています。

健康診断の事後措置―会社が行うべき5つの実務

会社が行うべき事後措置は、次の5つです。

1.結果を労働者本人へ通知する

法定健康診断を受けた労働者に、異常所見の有無にかかわらず結果を遅滞なく通知しなければなりません。
健診機関から本人へ直接結果が送られる場合も、対象者全員への通知が完了したかを把握できるようにしておくことが必要です。

2.健康診断個人票を作成し、5年間保存する

保存については電磁的な保存も可能ですが、閲覧権限や退職者分の保管方法まで決めておく必要があります。
なお、特殊健康診断には別の保存期間が定められているものがあるため、必ず保管期間は確認しておくようにしましょう。

3.有所見者について3か月以内に医師等の意見を聴く

医師から聴取した意見は個人票へ記載し、業務情報を求められたときは医師に対して労働時間や作業内容などを速やかに提供することとなります。
産業医の選任義務がない事業場では、地域産業保健センターも利用も可能ですので、是非活用ください。

4.医師の意見と本人の事情を踏まえ、就業上の措置を決定する

医師の意見と本人の事情を踏まえ、必要があると認める場合には、就業場所の変更や労働時間の短縮などの措置を講じます。
所見があっただけで直ちに配置転換や休職を決めるものではなく、医学的な評価は医師に委ね、会社は本人の仕事内容や希望も確認したうえで労務上の判断をすることとなります。

5.常時50人以上の事業場は労基署へ報告する

常時50人以上の事業場については、定期健康診断結果報告書を管轄労基署へ届出義務があります。
人数は会社全体ではなく、事業場単位で判断していくことが必要となります。
なお、50人未満の事業場にはこの報告義務はありませんが、報告以外の①〜④の対応は変わらず必要となります。

参考:厚生労働省:健康診断の実施と事後措置の概要

対象者の線引きで見落としやすい点

パート・アルバイト

名称ではなく契約期間と所定労働時間で判断することとなります。
期間の定めがない、もしくは契約期間1年以上のパート・アルバイトなどで、週所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上であれば対象となります。

派遣労働者

一般健康診断は派遣元、一定の有害業務に関する特殊健康診断は派遣先が実施します。
一般健康診断の事後措置は派遣元の義務ですが、作業の変更など派遣先の協力がなければ実行できないこともあるので注意が必要です。

外国人労働者

国籍によって対象から外れるものではありません。
2026年度の重点事項では、外国語による問診などへの配慮と、健診機関との調整が示されています。
結果通知や再受診の案内が伝わる方法についても準備が必要となります。

健康情報取扱担当者

健康診断結果は要配慮個人情報となります。

健康情報の取扱いに関する指針を踏まえ、閲覧できる担当者、利用目的、保管場所、医師・健診機関・派遣先との共有方法を社内規程において定めておくことが望ましいといえます。

会社は、現場管理者に対しては、診断名や検査値などの機微な情報は提供せず、「深夜業を月何回までとする」など、就業に必要な情報へ絞る運用が基本となります。

2026年のTHP指針見直しに向けた動き

厚生労働省の検討会は2026年8月21日、「事業場における労働者の健康保持増進の在り方に関する検討会」報告書を公表しました。

報告書において、生活習慣の改善など疾病の発症を防ぐ一次予防に加え、疾病の早期発見・早期治療を図る二次予防も進める方向が示されています。
また、対象となる健康課題として、がん、女性特有の健康課題、歯科疾患、骨粗しょう症、眼科疾患が挙げられました。

検診機会の提供や受診勧奨、医療保険者・地域保健との連携に加え、治療を受けながら働き続けられるよう、治療と就業の両立支援をさらに進める考えとなります。

なお、これらの検討事項については、あくまで今後のTHP指針見直しにつながる報告書で、添付された新旧表も「案」でに留まるものとなります。
したがって、現時点においては、法定健康診断後の義務を確実に行ったうえで、任意施策は自社の人員、費用、医療保険者の事業などを踏まえて選ぶのが現実的となるでしょう。

健康診断に関するよくある質問

Q.従業員が健康診断を拒否した場合、会社はどうすればよいですか

法定健康診断については、会社に実施義務があり、従業員にも受診義務があります。ただし、会社指定の医師による受診を希望しない労働者は、別の医師による同等の健康診断を受け、結果を証明する書面を会社へ提出することが可能です。

従業員から拒否があった場合は、受診目的と健康情報の取扱いを説明し、日程変更や受診先の選択肢を示すこととなります。
案内と本人の回答を記録し、懲戒などを直ちに判断せず、就業規則の定めと拒否の理由を個別に確認しておくとよいでしょう。

Q.再検査や精密検査の費用は会社負担ですか

法定健康診断そのものの費用は会社負担ですが、一般健康診断後の再検査・精密検査の費用負担は、法令で一律に定められていません。
労使の協議や就業規則、会社の制度により決めます。
一部の特殊健康診断に基づく再検査等は扱いが異なるため、対象業務を確認してください。

Q.従業員50人未満の会社でも事後措置は必要ですか

必要です。
50人という基準は、産業医の選任や定期健康診断結果報告書の提出などに関係します。
健康診断の実施、結果通知、5年間の記録保存、有所見者についての医師等への意見聴取、必要な就業上の措置は、50人未満だから免除されるものではありません。

Q.パート・アルバイトにも健康診断は必要ですか

雇用形態の名称だけでは決まりません。契約期間と週所定労働時間が「常時使用する労働者」の基準を満たすかで判断していくこととなります。

対象者の抽出では、雇用契約書の期間だけでなく、更新実績や今後の更新予定、通常の労働者と比べた所定労働時間も確認してください。

それでは。

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