BLOG

ブログ

非常勤役員の社会保険加入について

非常勤役員の社会保険加入について

労働・社会保険

2025.10.20

こんにちは、アルク社会保険労務士法人です。
今回は非常勤役員の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入についてご案内します。

役員の社会保険加入の基本

常勤役員:報酬があれば原則として社会保険の加入義務があります。
代表取締役や取締役などでも報酬が支払われていない場合は、社会保険の加入義務はありません。
非常勤役員:原則として社会保険の加入義務はありません。
ただし、名目上非常勤であっても、実態として「常勤的な勤務」を行っていると判断されると加入の対象とされます。

社会保険の加入義務が発生する実態判断の基準

法人の代表者の社会保険加入の判断基準について、日本年金機構は疑義照会(平成26年1月8日受付番号No.2010ー77)で下記のとおり示しています。 

「労務の対償として報酬を受けている法人の代表者又は役員かどうかについては、その業務が実態において法人の経営に対する参画を内容とする経常的な労務の提供であり、かつ、その報酬が当該業務の対価として当該法人より経常的に支払いを受けるものであるかを基準として判断されたい。」

(判断の材料例)
①当該法人の事業所に定期的に出勤しているかどうか。
②当該法人における職以外に多くの職を兼ねていないかどうか。
③当該法人の役員会等に出席しているかどうか。
④当該法人の役員への連絡調整または職員に対する指揮監督に従事しているかどうか。
⑤当該法人において求めに応じて意見を述べる立場にとどまっていないかどうか。
⑥当該法人等より支払いを受ける報酬が、社会通念上労務の内容に相応したものであって実費弁償程度の水準にとどまっていないかどうか。
なお、上記①〜⑥はあくまで例として示すものであり、それぞれの事案ごとに実態を踏まえ判断されたい。

非常勤役員の場合はどうなるのか

では、非常勤役員の社会保険の加入についてですが、「非常勤」という肩書きではなく、実際の勤務状況や業務への関与の度合いなどに基づいて判断されます。
以下の要素を総合的に考慮し、実質的に常勤役員や従業員に近い働き方で、会社との使用関係が認められれば、加入義務が発生します。

・定期的な出勤の有無と頻度
定期的に事業所へ出勤している場合、使用関係が認められる傾向にあります。

・他の職務との兼務状況
他に多くの仕事(職)を兼ねておらず、その法人の業務に専念している場合、使用関係が認められる傾向にあります。

・役員会・取締役会等への出席状況
会社の役員会などに継続的に出席している場合、使用関係が認められる傾向にあります。

・指揮監督への関与
他の従業員への指揮監督や、業務の連絡調整など、具体的な業務執行や組織運営に深く関与している場合、使用関係が認められる傾向にあります。

・報酬の水準
支払われる報酬が単なる実費弁償(会議出席の旅費や日当など)程度の水準にとどまっておらず、労務の対価に見合った水準である場合、使用関係が認められる傾向にあります。

【注意点】
これらの基準のいずれ一つに該当したからといって直ちに加入義務が生じるわけではなく、複数の要素を照らし合わせて、その役員が会社の経営にどの程度経常的かつ日常的に関与しているかを総合的に判断することになります。

報酬額(月額)についても、常勤の従業員に適用される一定の基準(例:短時間労働者の月額8.8万円以上)が参考にされることがありますが、非常勤役員の場合は、勤務実態が最も重要な判断基準となります。

まとめ

非常勤役員は、基本的には社会保険の加入の義務はありませんが、実質的に「会社に常時使用され、労務を提供している」と見なされる場合は加入の義務が生じる場合があります。
「非常勤だから大丈夫」と安易に判断せず、常勤の従業員や役員に近い働き方をしていると見なされる場合は、年金事務所によって加入を指導される可能性があります。
役員報酬がいくらまでなら社会保険に加入しなくても良いというわけでもありません。
判断に迷う場合は、管轄の年金事務所に具体的な勤務実態を説明するなど、加入の要否について確認を取ることが良いでしょう。

それでは。

記事一覧