法改正
2026.1.26
こんにちは、アルク社会保険労務士法人です。
令和7年6月13日に厚生年金等の標準報酬月額の上限が段階的に引き上げられることが決定しましたのでご案内します。
令和7年5月16日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」を第217回通常国会に提出し、衆議院で修正のうえ、6月13日に成立しました。
今回の改正により、標準報酬月額の上限が65万円から75万円まで段階的に引き上げられます。
令和9年9月以降、標準報酬月額の上限が段階的に引き上げられます。
・現在 65万円
・令和9年9月〜 68万円
・令和10年9月〜 71万円
・令和11年9月〜 75万円
今回の改定はすべての被保険者に影響するというわけではなく、「現在の上限付近の給与を受け取っている人」に直接的な影響が出ます。
月給(報酬月額)が63.5万円以上の方、特に月給66.5万円以上(年収約800万円以上)の方は、社会保険料の負担が増加します。
また、保険料については企業と折半での支払いになるため、企業側の負担も増えることになります。
今回の改定は、高所得者の負担能力に応じた公平な保険料の負担と、将来の年金受給額の底上げを目的としています。
支払う保険料が増える分、将来受け取る老齢厚生年金の額も増額されます。
現在の標準報酬月額の上限は65万円なので、65万円を超える給与を受け取っている方は実際の給与などに対する保険料の割合が低く、給与に見合った年金を受け取ることができないという実態がありました。
また、少子高齢化が進んでいるため、今後、現役世代から入ってくる保険料が減り、高齢者に払う年金が増えていきます。そこで少しでも入ってくる保険料を増やすために上限が引き上がります。
しかし、一気に上限を大幅に引き上げると、個人の手取り額急減や企業の経営圧迫を招く可能性もあるため、数年に分けて段階的に引き上げるスケジュールとされています。

画像引用:厚生労働省「厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて」
例えば、月額75万円以上の方が10年間加入した場合、年金が月額約5100円増額される試算もあります。(令和11年9月以降、月あたりの保険料(本人負担分)は約9100円増加する見込みです。なお、社会保険料控除を考慮した実質負担は月約6100円です)
つまり、上限が引き上がることで、月給65万円を超える被保険者がその収入に応じた保険料を負担し、現役時代の収入に見合った年金が受け取れるようになります。
また、これまで上限に達していた被保険者の保険料負担が増えるため、年金財源が強化されます。これにより、給付の安定性が高まり、月給65万円以下で保険料がこれまでと変わらない方を含めて、厚生年金全体の給付水準が上昇することが期待されます。

画像引用:厚生労働省「厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて」
厚生年金加入者及び事業主が毎月納める厚生年金保険料は、報酬に保険料率(現行18.3%、事業主と被保険者が半分ずつ負担)を掛けて計算します。
その際に使用されるのが「標準報酬月額」です。
報酬をそのまま使うと保険料の計算が複雑になるため、32段階の等級のうち、当てはまる等級を使って計算します。
令和8年現在の標準報酬月額は1等級(88,000円)から32等級(650,000円)に区分されています。
標準報酬月額の計算をする際は、月ごとではなく、原則4~6月の3か月の報酬を元に算出します。また、賞与については「標準賞与額」として別途計算されます。
令和9年9月より厚生年金の標準報酬月額の上限額が現在65万円から75万円まで段階的に引き上げられることが決定しました。
高所得者の負担能力に応じた公平な保険料負担と、将来の年金受給額の底上げを目的としています。
今回の改正は、対象となる被保険者だけでなく会社側にも大きな影響が生じる可能性があります。
上限の改定に伴い、担当者は制度の内容を正しく理解し、段階的な変更スケジュールを見据えて早めに対応できるようにしておくことが必要となってきます。
また、システムの設定更新などの対応、従業員へ保険料改定について事前に周知をするなどトラブルを防ぐようにしましょう。
参考:厚生労働省「厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて」
それでは。
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