法改正
2026.2.26
こんにちは、アルク社会保険労務士法人です。
今回は協会けんぽの健康保険料率の改定と、新設した「子ども・子育て支援金」についてご案内します。
協会けんぽの令和8年度の健康保険料率が3月分(4月納付分)から改定されます。
協会けんぽの保険料率は一律ではなく、都道府県支部ごとの年齢構成や所得水準の差を調整したうえで、加入者1人当たりの医療費に基づいて毎年算出・改定されています。
令和8年度の改定では、引上げ(値上げ)となる都道府県はゼロで、多くの都道府県で引き下げられる結果となりました。
全47都道府県のうち、40都道府県で「引き下げ(値下げ)」、7県で「据え置き」となっています。
全国平均保険料率は、現行の10.0%から9.9%へ引き下げとなる見通しです(0.1%のマイナス)。
健康保険料に加えて、40歳から64歳までの方(介護保険第2号被保険者)は、全国一律の「介護保険料率(1.62%)」が加わります。(1.59%から1.62%に改定)
各都道府県の保険料率についてはこちらからご確認ください。
参考:全国健康保険協会「令和8年度保険料額表」
2026年(令和8年)4月より「子ども・子育て支援金制度」がスタートします。
医療保険に上乗せして徴収される新しい支援金制度で、子育て世帯に対する給付の拡充を通じて、子どもや子育て世帯を社会全体で支えることを目的としています。
国は支援金を財源としてこども未来戦略「加速化プラン」の取り組みを実施します。
加速化プランとは、我が国の少子化対策を促進するために、児童手当の拡充等の給付を拡充するなど、さまざまな施策のことです。
・児童手当の抜本的拡充(2024年10月から)
→所得制限を撤廃、高校生年代まで延長、第3子以降は3万円に増額
・妊婦のための支援給付(2025年4月から制度化)
→妊娠・出産時に10万円の経済支援(出産・子育て応援交付金)
・出生後休業支援給付(2025年4月から)
→子の出生後の一定期間に男女で育休を取得した場合に、育児休業給付とあわせて最大28日間手取り10割相当となるよう給付の創設
・育児時短就業給付(2025年4月から)
→2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている場合に、時短勤務中に支払われた賃金額の10%を支給
・こども誰でも通園制度(2026年4月から給付)
→月一定時間までの枠内で、時間単位等で柔軟に通園が可能な仕組みの創設(乳児等のための支援給付)
・国民年金保険料免除措置(2026年10月から)
→自営業やフリーランス等の国民年金第1号被保険者について、その子が1歳になるまでの期間の国民年金保険料を免除
徴収開始時期について
2026年4月分保険料(5月納付分)から、健康保険料・介護保険料とあわせて徴収が始まります。
新たな申請や手続きは不要で、自動的に負担する仕組みです。
※任意継続被保険者、特例退職被保険者は2026年4月納付分から徴収。
※支援金は健康保険料等とは完全に区分されており、少子化対策以外には一切使われません。
負担する対象者について
被用者保険(会社員)、国民健康保険、後期高齢者医療制度の加入者など、子どもの有無に関係なく、すべての医療保険加入者が対象となります。
負担額について
支援金の負担額は、加入している医療保険や収入に応じて異なります。
支援金は一度に全額を徴収するのではなく、令和8年度から令和10年度にかけて段階的に金額が上がっていく予定です。令和10年で満額(約1兆円)となる見込みです。
1.被用者保険加入者
・支援金額(月額)は、標準報酬月額×支援金率です。
・労使折半により会社と被保険者で半分ずつ負担します。
・令和8年度の一律の支援金率は「0.23%」です。
・健康保険料等とあわせて徴収されることになります。
2.国民健康保険加入者
・支援金額(月額)は、お住まいの市町村が定める条例に基づき、世帯や個人の所得等に応じて決定されます。
・市町村ごとに支援金に係る保険料率は異なります。
3.後期高齢者医療制度加入者
・支援金額(月額)は、お住まいの都道府県後期高齢者医療広域連合が定める条例に基づき、個人の所得等に応じて決定されます。
・後期高齢者医療広域連合ごとに支援金に係る保険料率は異なります。
令和8年度の支援金額の推計(平均金額)
1.被用者保険加入者
被保険者一人あたり約550円/月
2.国民健康保険加入者
一世帯あたり 約300円/月
3.後期高齢者医療制度加入者
被保険者一人あたり 約200/月
参考:こども家庭庁「令和8年度の支援金額(試算)」
参考:こども家庭庁「加速化プランによる子育て支援の拡充と子ども・子育て支援金」
「子ども・子育て支援金」と「子ども・子育て拠出金」は、どちらも子育て支援のための財源で、名称が似ていて非常に紛らわしいですが、「負担者」と「徴収方法」が異なります。
「子ども・子育て拠出金」は、以前から実施されており(旧:児童手当拠出金)、2015年(平成27年)の「子ども・子育て支援法」に基づいて名称が変更されました。
児童手当や保育所の運営費など、仕事と子育ての両立支援事業などの財源を集めることを目的としています。
子ども・子育て拠出金(既存)
負担者:会社(事業主)が全額負担
徴収方法:厚生年金保険料と合わせて徴収
子ども・子育て支援金(新設)
負担者:会社と従業員が折半して負担
徴収方法:健康保険料等に上乗せして徴収
つまり、既存の「拠出金」は既に会社側が支払っており、従業員には負担がありませんが、新設される「支援金」は令和8年4月から会社と従業員で負担することになります。
2026年度(令和8年度)の協会けんぽの保険料率が3月(4月納付分)から改定されました。
多くの都道府県で引き下げられる結果となり、全国の健康保険料率の平均自体は下がります。
また、新たに「子ども・子育て支援金制度」が始まり、健康保険料等と合わせて4月(5月納付分)から徴収されることとなります。
こちらが上乗せされるため、トータルの徴収額としては実質的にわずかなプラス(負担増)となるケースが多いと予想されます。
「子ども・子育て支援金」の新設によって、給与から天引きされる社会保険料の内訳が変わることとなりますので、 ご自身の給与明細等を確認してみましょう。
それでは。
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