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「130万円の壁」の判定方法に新たなルールが導入されました

「130万円の壁」の判定方法に新たなルールが導入されました

法改正

2026.5.14

こんにちは、アルク社会保険労務士法人です。

2026年4月1日より、社会保険(健康保険・厚生年金)の被扶養者認定における「130万円の壁」の判定方法が改定されましたので、ご案内いたします。

「労働契約ベース」の判定方法導入

被扶養者認定の判定について、年収が「130万円未満」という金額自体は今までと変わりありません。
この「130万円」が、これまでは「直近の給与実績」や「今後の見込み」で判断されていましたが、今後は雇用契約上の就労時間など「労働契約(労働条件通知書)の内容」をベースとした判定するルールが導入されました。

これにより、一時的な残業代などで合計が130万円を超えても、扶養から外れにくくなるという緩和が行われます。

変更の背景と目的

これまでの年間収入の判定方法は実績や今後の見込みを重視していたため、繁忙期の残業代などで一時的に収入が増えるだけでも「扶養から外れるかもしれない」という不安が常にありました。
特に年末などの忙しい時期に、パート・アルバイトスタッフが「130万円を超えそうだから」とシフトを削る事態が多発し、企業は人手不足に陥り、働く本人も収入を増やせないという「労使双方のロス」が生じていました。

契約内容をベースにすることで、「いつ外れるかわからない」という不安を取り除き、「働き控え(就業調整)」による労働損失の解消をすることが改定の目的とされています。

主な変更点について

主な変更点については以下の2点です。

1、判定基準が「実績」から「契約」へ
これまでは、収入において3ヶ月連続で月額10.8万円(130万円÷12)を超えると「見込み年収が基準を超えた」と判断され、扶養から外されるケースが一般的でした。
・旧ルール(2026年3月まで):実績重視
残業代や休日出勤も含めた「実際の月収」で判定。
・新ルール(2026年4月から): 契約重視
「労働契約(労働条件通知書)」に記載された基本給や諸手当をベースに判定。

2、「残業代」が判定から除外
「突発的な残業代」が130万円の計算に含まれなくなるメリットがあります。
繁忙期に少し多めに働いて一時的に月収が増えても、契約上の年収が130万円未満であれば、即座に扶養を外されるリスクが低くなりました。

含まれるもの・含まれないものについて

130万円の判定に含まれるものの項目は以下の通りです。
・含まれるもの: 基本給、定額の手当(役職手当など)、通勤手当、賞与
・含まれないもの: 臨時・突発的な残業代、休日出勤手当、慶弔見舞金などの一時的な収入
具体例: 契約上の年収が120万円の人が、繁忙期に残業を頑張って実際の年収が140万円になったとしても、契約が130万円未満であれば扶養にとどまれるようになります。

注意点について

・恒常的に残業が発生しており、常態として130万円を大きく超え続けている場合は、契約内容の見直し(=扶養除外)を求められる可能性があります。

・交通費(通勤手当)について社会保険の判定では引き続き「収入」としてカウントされるため、計算時は注意が必要です。

※労働条件通知書の記載内容(時給・所定労働時間・勤務日数・諸手当・賞与など)が、今まで以上に重要となるので改めて確認が必要となります。

必要書類について

この新ルールを使う場合、「被扶養者(異動)届」に以下の(1)(2)の両方の添付が必要となります。

(1)労働契約内容がわかる書類〔労働条件通知書、雇用契約書または労働条件が記載されている事業主証明(任意様式)〕(以下「通知書等」といいます。)
(2)扶養認定を受ける方からの「給与収入のみである」旨の申立書(申立書には扶養認定を受ける方の氏名を記載すること)※

※ただし、被扶養者(異動)届の扶養に関する申立書欄に、扶養認定を受ける方からの「給与収入のみである」旨の申立てと扶養認定を受ける方の氏名を記載した場合は申立書の添付は不要です。

130万円を超えてしまった場合

一時的に超えてしまった場合は、原則として扶養取り消しはありません。
残業が重なった、欠員が出て急遽シフトに入ったなど、契約内容は変わっていないが、突発的な理由で一時的に超えた場合は、扶養にとどまれる可能性があります。

臨時収入が「社会通念上妥当な範囲」に留まる場合は、これを理由として被扶養者の認定を取り消す必要はないとされていますが、「社会通念上妥当な範囲」の具体的な金額等は行政も明示していないため、判断が難しい場合は各保険者(協会けんぽや健康保険組合、年金事務所)への事前確認が必要です。

ただし、時給が上がった、あるいは契約上の労働日数・時間が増えたなど「契約変更」によって130万円を超える場合は、速やかに扶養を外れる手続きが必要です。
扶養から外れる場合は、被保険者(家族)の勤務先へ「健康保険 被扶養者(異動)届(削除用)」を提出し、自身の勤務先で社会保険に加入するか、自治体の国民健康保険・国民年金に加入することとなります。

「実績ベース」の判定は継続

この新ルールについてはあくまでも判定の選択肢が導入されることで、扶養から外れにくくなるよう緩和することが目的とされています。
従来の方法(給与明細・課税証明書等による実績)での判断は継続しますので、130万円を超えない年間収入で労働している場合は被扶養者として継続して問題ありません。

まとめ

2026年4月1日より、社会保険(健康保険・厚生年金)の被扶養者認定における「130万円の壁」の判定方法が改定されました。
「実績や将来の見込み」によって判断されていましたが、「労働契約書(労働条件通知書など)に記載された内容」による判断に変更されます。
労働契約を結ぶ時点で扶養内で働けることが保証されることで、「働き控え(就業調整)」が解消されることが期待されています。

それでは。

参考
厚生労働省:「年収の壁への対応」
「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて」
日本年金機構:「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いついて」「家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっていた家族に移動があったとき、被扶養者の異動事項に変更があったとき」

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