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【障害者雇用の合理的配慮】相談件数増加を受けた実務対応

【障害者雇用の合理的配慮】相談件数増加を受けた実務対応

コラム

2026.6.22

こんにちは。アルク社会保険労務士法人です。

厚生労働省は、令和8年6月19日に、令和7年度の「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績」を公表しました。
公表資料では、ハローワークに寄せられた障害者差別および合理的配慮の提供に関する相談が631件となり、前年度より44.1%増加したとされています。

この数字は「大企業だけの話」とは言い切れません。
障害者雇用促進法では、雇用分野における障害者差別は禁止され、合理的配慮の提供は義務とされています。
採用募集、面接、配属、業務指示、勤務時間、休憩、評価、配置転換など、企業規模を問わず、様々な人事労務の中で対応が必要となってくる分野のため、以下で実務的な対応を確認しておきましょう。

採用段階で差別につながる表現がないか確認

まず、障害者の差別禁止に係る自主点検資料において、自社において障害者差別が無意識的に行われていないかチェックしていくことが求められます。
募集・採用など雇用のあらゆる局面で、障害者を一律に排除するような表現等になっていないか、自主点検を行っていきましょう。

その際に、求人票、採用ページ、面接時の質問、配属予定業務の説明、採用基準の書き方に見直し余地があることがあります。
たとえば、「健康な方」「体力に自信がある方」といった表現が、その業務に本当に必要な要件なのかを確認してください。
必要な能力や業務内容を説明することと、障害の有無で一律に判断することは分けて考える必要があります。

なお、採用段階では、本人にどこまで確認してよいか迷う場面もあります。
自社チェックの場合は、
・業務上必要な事項
・配慮の検討に必要な事項
・本人が希望している配慮
上記を分けて整理します。
面接担当者だけで判断せず、人事担当者や現場責任者が確認できるチェックリストを用意しておくと、対応がぶれにくくなります。

入社後の合理的配慮は本人との話し合いを記録

合理的配慮は、会社が一方的に決めるものではなく、本人の申し出や状況を踏まえて検討するものです。
各行政機関から、
・合理的配慮指針
・はじめての障害者雇用~事業主のためのQ&A~
・事例集
・事業主向けリーフレット
上記が案内されています。
現場でどのような場面があり得るかに置き換えて積極的に活用していくことが求められます。

たとえば、勤務時間の調整、休憩の取り方、通院への配慮、業務手順の変更、作業場所の変更、情報伝達方法の工夫、周囲への説明範囲などが考えられます。
ただし、すべての希望をそのまま実施するという意味ではありません。会社側の業務上の必要性、職場の体制、費用や人員面の負担、他の従業員への影響も含めて、過重な負担にならない範囲で検討していくことが必要です。

ここで大切なのは、話し合った内容を残しておくことです。
本人からの申し出、会社が確認した業務内容、検討した配慮案、実施する内容、実施しない場合の理由、見直し時期を簡単に記録します。
口頭だけで進めると、後から「何を確認したか」が分からなくなりやすいためです。

相談窓口と管理職への共有で対応を属人化させない

厚生労働省の令和7年度実績において、障害者雇用調停会議による調停申請受理件数が15件となり、前年度の11件から増加していると示されています。
また、都道府県労働局長による紛争解決の援助申立受理件数は2件とされています。相談件数の増加を考えると、会社内で初期対応をどう受け止めるかが重要となってきます。

障害者を巡るトラブルにおいて、本人が最初に相談する相手が、直属の上司、経営者、総務担当者などに分かれます。
相談を受けた人の個人的な判断で終わらせず、会社として受け止める流れを決めておくことが必要です。
会社内では、相談窓口、一次対応者、記録の保存先、本人への回答期限、必要に応じて関係者へ共有する範囲を整理しておくと良いでしょう。

管理職の方には、障害名を詳しく知ることよりも、業務上どのような配慮が必要か、本人の同意なくどこまで共有してよいか、周囲へ説明する場合に何を伝えるかを確認してもらいます。
合理的配慮は、善意だけで進めると本人の希望とずれることがあります。
本人への確認、会社側の検討、実施後の見直しをひとつの流れにしておくことが実務上求められているフローです。

「できるか、できないか」決める前に

同じ「配慮」という言葉でも、会社の規模、職種、勤務場所、業務の性質、本人の状況によって対応は変わります。
障害者雇用の相談は、採用だけでなく、入社後の配置、休職復帰、勤務時間、業務量、評価、周囲への説明にもつながります。

会社内でまず整理したいのは、求人票、雇用契約書、就業規則、勤務実態、本人からの申し出メモ、面談記録、配慮案、職場で可能な対応、実施後の見直し予定です。
ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況では、令和7年度の新規求職申込件数が278,136件、就職件数が115,178件と公表されています。
採用機会が広がるほど、入社後の受け入れ体制も合わせて確認したいところです。

判断に迷う場合は、「できるか、できないか」をすぐに決める前に、本人の希望、業務上必要な条件、会社で検討した代替案を整理してください。
障害者雇用の合理的配慮は、採用と定着の両方に関係するテーマです。
相談件数が増えている今だからこそ、自社の求人、面談、相談窓口、記録の残し方を一度確認してみてください。

それでは。

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