コラム
2026.6.25
こんにちは。アルク社会保険労務士法人です。
厚生労働省は、令和8年6月23日に第73回中央最低賃金審議会の資料を公表しました。あわせて、令和8年6月26日に開催される第74回中央最低賃金審議会では、「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について(諮問)」が議題とされています。
令和8年度の地域別最低賃金について、これから目安審議が進んでいく段階です。
令和8年6月24日時点で新しい金額が決まったということではありませんが、令和8年度の最低賃金改定を見据えて、今から対応できることの確認をしてきましょう。
まず確認したいのは、現在の最低賃金額です。
地域別最低賃金の全国一覧において、令和7年度地域別最低賃金額と発効日が掲載されています。
今回の審議では、令和8年度の地域別最低賃金額改定に向けた目安が議論されています。
現時点でできることは限られていますが、現在の令和7年度の最低賃金と比較して、自社の従業員に支給している賃金がどの程度余裕を持っているかを先に確認しておくと良いでしょう。
例えば、次の資料で現在の賃金を確認していきます。
・賃金台帳
・雇用契約書、労働条件通知書
・時給者、日給者、月給者の賃金一覧
・勤務地、店舗、事業場ごとの従業員一覧
・求人票、採用ページの時給表示
令和7年度の最低賃金に近い水準の従業員がいる場合は、令和8年度の金額公表後に一人ずつ確認するのではなく、今の段階で対象者候補を抽出しておくと進めやすくなります。
最低賃金というと、時給者だけを確認すればよいと思われがちです。
しかし、月給者、日給者、出来高払制などの場合も、時間あたりの金額に換算して確認する必要があります。
特に見落としやすいのは、月給者の基本給が低めで、固定残業代、各種手当、歩合給などが組み合わさっているケースです。最低賃金との比較に入れる賃金、入れない賃金の整理が必要になります。

参考:厚生労働省「最低賃金の対象となる賃金」
判断に迷う場合は、最低賃金に関するセルフチェックシートもご活用ください。
この際、次の3点を分けて整理していくと良いでしょう。
・現在の支給形態は時給、日給、月給のどれか
・最低賃金との比較に使う賃金をどこまで含めるか
・所定労働時間や実際の勤務時間に変更がないか
最低賃金額が公表されてから必要になる作業は、単に時給を上げることだけではありません。
賃金改定を行う場合は、雇用契約書や労働条件通知書の更新(改訂後の賃金額の明示)、給与計算ソフトの設定、求人票の修正、本人への説明までつながります。
例えば、時給を引き上げる場合でも、いつの勤務分から適用するのか、締日と支給日の関係でいつの給与に反映するのかを確認します。
特に、令和7年度の最低賃金の改定にあたって特徴的だったのが、最低賃金の発効 日が例年より後ろ倒しになった都道府県があるという点です。
発効日が月の途中になる場合は、給与計算上の扱いを先に決めておかないと、差額調整が必要になることがあります。
チェックについては、次の流れで進めると整理しやすくなります。
・最低賃金に近い従業員を抽出
・契約上の賃金額と実際の支給額を照合
・改定が必要な場合の適用日を確認
・本人説明と契約書更新(又は改定通知書)の担当者を決定
・給与計算ソフトの設定日と確認者を決定
ここまで決めておくと、金額が公表された後に「誰を、いつから、いくらにするか」を確認しやすくなります。
地域別最低賃金は都道府県ごとに異なります。
店舗、営業所、現場、在宅勤務者など、働く場所が複数ある会社では、どの地域の最低賃金を見るかを先に整理しておく必要があります。
なお、最低賃金が都道府県を跨ぐ場合の適用ルールは、「実際に労働を提供する場所(事業所)」の最低賃金が適用されるのが原則です。
ただし、それぞれ異なる都道府県に事業所がある場合でも、その事業所がごく小規模で独立性のない場合は、直近上位の事業所が属する地域の最低賃金が適用される場合があります。

引用:厚生労働省「最低賃金制度とは」
特に、隣接する都道府県に店舗がある会社、出張や応援勤務が多い会社、採用時と実際の勤務場所が変わる会社では注意が必要です。
求人票では本社所在地だけを見ていても、実際の勤務場所では別の最低賃金が関係することがあります。
厚生労働省の第74回中央最低賃金審議会では、令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について諮問される予定です。また、目安制度の在り方に関する全員協議会の資料も公表されていますので、
今後の動きは継続して確認したいところです。
会社側で今のうちに準備できるのは、最終金額の予想ではなく、金額が出た後にすぐ判断できる状態を作ることです。
賃金台帳、雇用契約書、所定労働時間、勤務地、求人票、給与計算ソフトの設定を整理しておけば、改定額が公表された後の確認が早くなります。
最低賃金は、給与計算だけでなく、採用条件や契約書にも関係します。
新しい金額が公表される前に、一度課題を是非洗い出してみてください。
それでは。
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